外国につながる子どもたちへの日本語初期指導に便利なサイト

                                                NPO法人日本ペルー共生協会                                                                                                                

                                               矢沢 悦子(日本語講師)

 

「日本語を教えた経験がない」、「小中学生には教えたことがない」けれど、教えることになったという方に、インターネット上の便利なサイトをお知らせします。

日本語初期指導用として私が閲覧・使用したことのあるサイト、教材ですが、

① 「便利」かどうかは人によります。

② 使用する際の著作権については各自ご確認ください。

URLの最終確認は201645日です。

 

 子どもたちが必要としている日本語力は個々で異なり、大雑把に分けても小学校の低学年と中学年とでは違います。日本語指導が必要な子どもに共通するのは、日本語で生きていく、日本語で学習していく状況・環境に置かれているということです。

 ここでの情報をきっかけに、もっと便利なサイト、ご自分に便利なサイトを探しだし、子どもたちとの学びが楽しくなりますように!

1.全体

1-1 『外国人児童生徒受け入れの手引き』 『CLARINETへようこそ』 文科省HP

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003.htm

・「外国人児童生徒を受け入れる地域や学校では、受入れ体制の整備や日本語指導の充実など多くの取組が行われてきました。しかし、担当する指導主事、担当教員、管理職などは、数年単位で異動するため、それまで対応してきた担当者が異動すれば、新しい担当者が一から取り組むようになります。」 「本書では、外国人児童生徒教育にかかわる様々な人々が、それぞれの立場で具体的にどのような視点を持ち、どのような取組を行うことが必要かを示すこととしました。」 …「序章 本書のねらいと構成」より

・「第3章 日本語指導担当教員の役割」

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/15/1304668_5.pdf

3 日本語指導のプログラム」「4  指導計画の作成(日本語指導のコース設計)」には、具体的な例があります。

・県や市などの教育委員会、学校管理職、在籍学級担任向けもあります。

 

1-2 外国人児童生徒に対する「特別の教育課程」

学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1341903.htm

・日本語指導が学校教育の中に位置付けられ、「特別の教育課程」として20144

から始まっています。

学校内の日本語指導が必要な子どもの背景を把握し、指導計画を立て、実施記録を記

し、報告を出す。始めることが何であれ、事前調査、計画、報告は当たり前のことで

すが、全ての学校に共通の記入用紙(様式)があるのは、便利です。

・豊橋市教育委員会のサイトでも紹介しています。

  「『特別の教育課程』による日本語指導 参考資料 2015526日作成」

http://www.gaikoku.toyohashi.ed.jp/tokubetunokyouikukatei/tokubetuindex.html

 

1-3 「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント DLA」『CLARINETへようこそ』 文科省HP

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/1345413.htm

DLADialogic Language Assessment for Japanese as a Second Languageの略。

・「学校において児童生徒の日本語の能力を把握し,その後の指導方針を検討する際の参考」とするための評価ツール。対象は「基本的には、日常会話はできるが、教科学習に困難を感じている児童生徒」                 …「第1章 「DLA」の概要」より

・「はじめの一歩(語彙力チェックと導入会話)」「話す」「読む」「書く」「聞く」という構成で、「はじめの一歩」以外はそれぞれ「JSL評価参照枠」があります。最終的には「JSL評価参照枠<全体>」で、「初期支援段階」、「個別学習支援段階」、「支援付き自立学習段階」のいずれの段階かを評価(判断)します。

・ネット上にあり誰でもダウンロードして使用できます。但し、「読む」のレベル別テキスト、「聞く」のビデオはネットからは入手できません。私はDLAの研修会に参加して、「読む」のテキストを入手しました。

できればDLAの研修会、勉強会などへの参加をお勧めします。テキストを手に入れるため、ではありません。主観が入りやすいDLAをより客観的、普遍的な評価にして実施できると思うからです。

 

1-4 『プレスクール実施マニュアル』愛知県

http://www.pref.aichi.jp/soshiki/tabunka/0000028953.html

・就学前の子どもを対象にしていますが、参考になると思います。

・「語彙調査の語彙は、「小学校一年生の生活レベルで必要な語彙」の中から「日本語と母語の両言語から想定し、できるだけ文化的な影響の少ない語彙を選びました。」

                           …「資料集 語彙調査」よ

2.学習教材

2-1 「楽しい学校」 神奈川県大和市教育委員会

http://www.city.yamato.lg.jp/web/shidou/shidou2393.html

・「はじめての日本語1」、「はじめての日本語2」、「教科編 小学校・中学校」、「保護者のための手引き」があります。

・「教科編」は「教科書に良く出てくることばや漢字」が、小学校の場合、学年ごとに、五十音順に載っています。

・「スペイン語」「タガログ語」「ベトナム語」「ポルトガル語」「英語」「韓国・朝鮮語」

「中国語」の8言語対応です。

 

2-2 「外国人児童・生徒用日本語テキスト『たのしいがっこう』」 東京都教育委員会

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/tanoshi_gakko.htm

・中国語、スペイン語、タガログ語やシンハラ語など22の言語対応のテキストです。

・「しりょう」以外は全ページにイラストがあり、ことばや表現はひらがな、ローマ字表記

 のルビ、訳がついています。イラストがいい!見やすく使いやすいのです。

・A4サイズをA3に拡大して使うと、文字が見やすくなります。

・小学校低学年の場合、子どもによっては母語での読み書きやローマ字表記の読みができ

ないことがあります。

 

2-3 「日本語指導ハンドブック その1・その2」 東京都教育委員会

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/nihongo_shidou.htm

・「その1」は初級、「その2」は中級のそれぞれの児童生徒用です。

 ダウンロードすると1冊のテキストになります。

 

2-4 NHK for school 『小学12年 ことばドリル』 

http://www.nhk.or.jp/kokugo/drill/origin/schedule.html

NHKの番組(Eテレ、放送時間10分)。

・「言語ルール(文字・語彙・文法・文章表現)をテーマに、初歩の読み・書きのスキルを楽しみながら習得できます。」              …「番組紹介」より

・「番組では毎回、「読み・書きで失敗する大人たち」を楽しいコント劇で見せ、子どもの身近にもある言語ルールに気づかせます。そして、番組と連動したドリル(ゲームやクイズ)に取り組むことで、正しい言語ルールを習得するトレーニングができます。

   『ことばドリル』が提供するドリルは、番組が独自に開発した教材で、"子どもが飽きずに楽しく反復練習するうちに、自然と言語ルールの基礎が身につくドリル"です。また、番組の「漢字の歌」コーナーと連動した"歌っておぼえる漢字ドリル"もホームページで提供します。ぜひ番組視聴とあわせて、国語教材としてご利用ください。」・・・「番組紹介」より

・日本語初期指導用の番組ではないのですが、最初のほうは十分に活用できます。子ども向けのシナリオ作り、面白いなあと楽しんで、指導に活かしください。

 

2-5 幼児の学習素材館

http://happylilac.net/kisetsu-sozai.html

・「初めての運筆・お絵描き」、「ひらがな・カタカナの練習プリント」、「文字・言葉・文カード」、「数・数字の練習」など。ドリル教材があります。

・高学年や中学生であっても、ひらがなやカタカナのなぞり練習、イラストのある言葉のなぞり練習は日本語ゼロスタートの子どもに役立ちます。

 

2-6 小学生の無料学習プリント【ちびむすドリル】

http://happylilac.net/syogaku.html

・「漢字の練習プリント」(小学1年~6年のプリント。中学・高校のもある。)、「慣用句・ことわざ・四字熟語」などがあります。

・「算数プリント」、「地図」などもダウンロードできます。

 

2-7 のだまパパのかきじゅんきょうしつ

http://www.geocities.co.jp/NeverLand/2002/

・ネット上で、ひらがな、カタカナ、1年・2年の漢字の書き順を見ることができます。

・他にも同様のサイトがあります。もっと便利なサイト、探してみてください。

 

2-8 写真教材「日本の小学生生活」 国際文化フォーラムHP

http://www.tjf.or.jp/shogakusei/index_j.htm

・「日本の小学生たちから海外で日本語を学ぶ小学校の皆さんへのフォトメッセージです。この教材の写真やメッセージで皆さんが楽しく日本語を学びながら、日本の小学生を親しく感じてくれたらとてもうれしく思います。」…紹介文より

 

3.サイトを集めたサイト、その他

3-1 「外国人児童生徒教育資料」 豊橋市教育委員会

http://www.gaikoku.toyohashi.ed.jp/

 

3-2 『外国にルーツを持つ子どもの受け入れの手引き』徳島県教育委員会 学校政策課

http://jci-tws.com/f-children/

 

3-3 「多文化共生学校づくり支援サイト」 滋賀県国際協会

http://www.s-i-a.or.jp/tabunka/

 

3-4 「カスタネット」 文科省HP

http://www.casta-net.jp/

 

4.日本語のテキスト

4-1 『こどものにほんご1』 スリーエーネットワーク

 http://www.3anet.co.jp/ja/1370/

・これは市販のテキストです。AJAPEが「虹の架け橋教室」事業の委託を受け、子どもへの日本語指導を始めることになったとき、選んだテキストです。

・『こどものにほんご 2』もあり、どちらにも補助教材(『れんしゅうちょう』、『絵カード』)があります。

・「外国につながりのある子どもたちへの日本語初期指導」

http://www.3anet.co.jp/ja-relation/katsuyokoza29/2871/

『こどものにほんご』を使って指導したときのことを書かせていただきました。是非に、とおススメするわけではありませんが、読んでいただければ幸いです。

この中に書いた「学習項目一覧」をご紹介します。

 

「日本語初期指導用学習項目一覧」

 http://ajape.org/direccion1.pdf

   http://ajape.org/direccion2.pdf

 ・虹の架け橋教室」で、『こどものにほんご』『絵でわかるかんたんかんじ』をテキストに選び、小中学生を対象に、日本語指導をしていたとき作成したものです。表記や語彙、文型をどのような順で指導していくか、指導スタッフ間で共有・引き継ぎできるよう、学習項目を配列しました。

・架け橋教室では、「ことば」と「文型・表現」を2コマで、「かな・カナ・漢字」を1コマで指導していました。(1コマ50分)

・ご自由にお使いくださって結構ですが、ご意見、ご感想を是非お聞かせください。(AJAPE http://ajape.org/ まで)

 

4-2 『絵でわかるかんたんかんじ80』 スリーエーネットワーク

http://www.3anet.co.jp/ja/1378/

・小学校1年生の教育漢字80字をイラストで覚える漢字教材です。漢字を「一」から覚えながら語彙も増やすのに役立ちます。クイズで考える、出てきた漢字(語彙)を使ったストーリーのある話を読む、などの構成で子どもも楽しく学んでいけます。

・教材の軽やかさ(つまり、本の薄さ)が、たくさん学ぶ(教える)負担を和らげてくれます。(主観かつ願望ですが。)

・小学校2年生用『絵でわかるかんたんかんじ 160』、小学校3年生用『絵でわかるかんたんかんじ 200』もあります。

 

4.その他

4-1 「学習教材」 国際交流基金HP

https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/education/resource/index.html

・国際交流基金が開発した教材の紹介サイト。同基金の日本語教育は海外を主としており、日本国内の小中学生の日本語初期指導にそのまま利用するのは難しいものもあります。

 

-2 青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/

・インターネットで読める本。

・「青空文庫には、作者の死後50年を経て著作権の消滅した作品と、著作権者が「インターネットを通じて読んでもらってかまわない」と判断したものの、二種類がおさめられています。」…「青空文庫早わかり」より

・「青空文庫は、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、図書館のようにインターネット上に集めようとする活動です。著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストとXHTML(一部はHTML)形式に電子化した上で揃えています。」…「ファイルを利用する」より

 

 

以上